ゲーミフィケーション

マーケティング

ゲーミフィケーションとは

ゲーミフィケーション(Gamification)とは、問題の解決にゲームデザインの技術や仕組みを利用すること。

私たちの日常生活やビジネスに、ゲームの要素を取り入れることで「楽しく・夢中に・飽きることなく」課題に取り組むことができる仕掛けのことです。

もともとゲーミフィケーションという言葉自体は以前より存在していましたが、2010年代初頭より、ゲームが持つ「人を夢中にさせる力」を使って、モチベーションを上げたり、生産性や学習効率をアップさせることが期待されるものとして認知されるようになりました。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

確かに、ゲームにハマってしまうような仕組みは、他のものにも活かすべきだよね。

イトケン
イトケン

ゲームってよく出来てんのよ。

 

 

人を夢中にさせる「可視化」という仕掛け

ゲームにはスコア(点数、得点)という概念があり、その数字によって達成度や上達度を可視化しています。レベル1よりレベル10の勇者のほうが強いですし、シューティングゲーム等でも10万点のスコアよりも100万点のスコアを叩きだせるプレイヤーのほうが上手いとされています。

私たちの日常の出来事や行動も数字という形で可視化することで、自身の現在の状態を把握したり、目標を設定したり、数字を心の拠りどころにモチベーションを保つことが期待されます。

そして、これはなにも数字に限ったことではありません。

透明な貯金箱であればコインが貯まっていく様を可視化できます。中のコインが見えない貯金箱よりも貯金の成果が見えるスケスケの貯金箱のほうがよりモチベーションが続きます。

ゲーミフィケーション専門の情報サイト「gamefication.jp」編集長の深田浩嗣さんは「可視化はゲームへの第一歩」と自身の著書に綴っており、その重要性を説いています。

(可視化を使ったゲーミフィケーションの例)
・飲食店などのスタンプカード
・いきなりステーキの肉ポイント制度
・図るだけダイエット、レコーディング・ダイエット
・歩数計、運動量計

 

 

手厚い「オンボーディング」

オンボーディング(Onboarding)とはもともと人事用語で、新しく採用した人を会社に適応させる一連の活動のことを指します。入社時の研修等がこれに当たります。
日本では新入社員が一人辞めてしまうことを、辞めた本人のせいにしがちですが、欧米では馴染めなかった組織の問題とみなすことが多いです。そのため手厚いオンボーディングが見られる企業もあります。

一方、ゲーム業界でオンボーディングは、新しいユーザーに手ほどきを行い、ゲームに慣れさせることを意味します。
つまり、ゲーム初回プレイ時にはじまるチュートリアルのことですね。楽しくゲームをプレイしながら操作方法や遊び方を学べるのが特徴です。

そして、その中でも特に優れたチュートリアルが見られるのがスマホアプリのゲームです。

基本プレイ無料のスマホゲームは、利用者の課金を期待したビジネスモデルのため、利用者に途中離脱されるわけにはいきません。そのため、手厚いオンボーディングが見られます。
操作を学ぶだけのチュートリアルではなく、ゲームの爽快感、達成感、醍醐味、そして成功体験までをちゃんと理解できるような作りになっているということです。

私たちの身近にある商品やサービスにも、このスマホゲームに見られるような手厚いオンボーディングが重要であるとの考えが広く浸透してきました。それは、興味を持ってもらう・どんな商品か理解してもらうだけではなく、その価値を知ってもらうことが顧客満足に繋がるからです。

(オンボーディングを使ったゲーミフィケーションの例)
・実演販売などの店頭デモンストレーション
・博物館・美術館などのガイドツアー

 

 

世界観のソーシャル化

ワイルドでフリーダムな世界観を上手に利用しているのがハーレーダビットソンです。

世界中のハーレーのオーナー作るコミュニティとして「H.O.G」(Harley Owners Group)というものがあります。「H.O.G」は、ハーレーダビットソン公式のライダーズグループで、世界131か国100万人以上が参加しています。

「H.O.G」ではオンライン/オフライン双方を介して、イベントやコンテストに参加したり、自身の愛車やカスタマイズを他のオーナーと共有することができます。また、走行距離に見合った特典も用意されています。

つまり、コツコツ愛車をカスタマイズする人も、自由気ままにに走行する人も、どちらの人もますますハーレーのことが好きになるような仕組みを、ハーレーダビットソン公式がマーケティング施策として仕掛けているわけです。

ハーレーの持つ世界観を愛し、そこにどっぷり浸ることが心地よいと感じるファン同士が集う「H.O.G.」では人と人との交流が生まれます。いわゆるソーシャル化です。

他のオーナーのカスタマイズをみて「カッコいい!俺もやってみよう」と参考にしたり、逆に自慢してみたり。また、他のオーナーの走行距離を見て、「俺もそろそろどこか遠出がしたいな・・」と感じたり。ソーシャルゲームで見られるような射幸心や競争原理が生まれるわけです。

(世界観を使ったゲーミフィケーションの例)
・「ロケ地巡り」や「聖地巡礼」

(参考文献)
ゲームにすればうまくいく ゲーミフィケーション9つのフレームワーク, 深田浩嗣 NHK出版 (2012)

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