同調行動

集団心理

同調行動とは

同調行動(Conformity)とは、周囲の人間に合わせようと行動してしまう傾向のこと。

これは、社会心理学や行動心理学の研究対象であり、私たちが日常生活で何気なく行っている行動の一つです。同調行動は、さまざまな状況で現れ、私たちの意思決定に影響を与えることがあります。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

他人につられてついつい無駄遣いしちゃった。

イトケン
イトケン

それ、サクラがいたんじゃね?

 

同調行動を示す有名な実験で「ミルグラムの同調実験」というものがあります。

これは、街中で何人もの人(仕掛け人)が上を見上げていると、通行人もつられて上を見上げてしまうというものです。ニューヨークの高層ビル街で行われた実験では、上を見上げる人が5人以上いた場合、約80%の通行人は彼らにつられてしまうというものでした。

 

また、「アッシュ実験」という実験も有名です。

左の線と同じ長さの線は、右の3本の線のうちどれでしょうか?というクイズがありました。

当然、全ての回答者が正しい答えを回答できましたが、あえて回答の場に間違った答えをする仕掛け人を忍ばせておいたところ、彼らの間違った答えに影響されてしまい正答率はなんと68%まで下がってしまいました。

このように、人間は無意識に周囲の人に合わせようとしてしまいます。

 

 

同調行動が生まれる2つの理由

なぜこのような同調行動が発生するのでしょうか。

主に2つの要因があります。

情報的影響要因(間違いたくない)
正しい判断をしたいという心理によるもの。特に未知の状況では、他の人の行動を模倣することで、自分の行動が正当なものであると示す心理が働いています。

規範的要因(嫌われたくない)
他者からの要求や圧力の影響によるもの。多くの人は、他の人々に受け入れられたり、好感を持たれたりすることを望みます。そのため、他の人々の意見と自分の意見を同じすることで、社会的な結びつきや承認を得ようとします。

また、他人の行動を真似ることで、安心感を得たり、不安や緊張を軽減することも同調行動の理由の1つと考えられています。

 

 

同調行動の具体例

同調行動は、日常生活でさまざまな場面で見られます。以下はいくつかの具体的な例です。

ファッション
ある有名人が特定のファッションアイテムを着用したり、流行が広まると、多くの人々がそれに同調し、同じスタイルを取り入れます。

ソーシャルメディア
ソーシャルメディア上で特定のトレンドが広まると、他のユーザーもそれに同調し、同じハッシュタグを使用したり、特定のコンテンツを共有したりします。

食事の選択
レストランでメニューを選ぶ際、他の人が何を注文したかを見て、同じ料理を選ぶことがあります。

 

 

同調行動の理解が、他人を理解するきっかけになる

同調行動は、私たちの日常生活に深く組み込まれた心理学的な現象です。

情報収集、社会的承認、不安の軽減など、さまざまな理由から生じます。そして、同調行動はファッションからソーシャルメディア、食事の選択まで、さまざまな場面で見られます。

この同調行動を理解することで、自分自身や他の人々の行動をより良く理解し、効果的なコミュニケーションや意思決定に役立てることができます。

(参考文献)
キャス・サンスティーン「同調圧力 デモクラシーの社会心理学」白水社 (2023)

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