WOOPの法則とは
WOOPの法則(Wish/Outcome/Obstacle/Plan)とは、前向き思考や精神論で目標を目指すのではなく、確実に目標達成を行うための4つのステップのこと。ポジティブ思考を捨てて、理想と現実のギャップに注目すべきとした考え方です。
ニューヨーク大学やハンブルグ大学の心理学教授であるガブリエル・エッティンゲンが、自身の著書で紹介しました。
ポジティブ思考って、いいことばかりじゃないんだね。
ネガティブ思考だって、悪いことばかりじゃないよ♪
ポジティブ思考は行動力を奪う
「ネガティブ思考よりも、ポジティブ思考でいるべきだ」
「何かと前向きな捉え方をしたほうが、物事が上手く進む」
自己啓発の場やビジネスシーンにおいて、このようにポジティブ思考こそが重要であるとした考え方が一般化しています。そんなポジティブ思考の罠に警鐘を鳴らすのがこのWOOPの法則です。
エッティンゲン教授は女性たちをAチームとBチームに分け、ある実験をしました。
彼女たちは「ハイヒール」を頭に思い浮かべるよう命じられたあと、Aチームはポジティブに、Bチームはネガティブに想像するよう指示が与えられました。
ハイヒールについてポジティブに想像するように言われたAチームは、素敵なハイヒールを履いて街をカッコよく歩く自分の姿などを想像しました。
一方、ネガティブな想像をするように言われたBチームは、足が痛くなってもう歩けなくなってしまった自分の様子などを想像しました。
そこで、彼女たちの血圧を測ってみたところ・・
Aチームのメンバーは一時的に血圧が下がり、
Bチームのメンバーには変化がありませんでした。
この実験からエッティンゲン教授は、以下のように結論付けています。
「ポジティブ思考にはリラックス効果があり、それが人間の行動力を奪っている」
居酒屋などで「俺は絶対にビッグになるんだ!」と仲間たちとポジティブに夢を語りあうのは気持ちがいいものです。
このような気持ちがいい状態は「目標達成ができた状態」と脳が錯覚してしまうため、その場だけ気持ちよくなって、行動力には直結しないと言われています。
では逆に、仲間たちと将来について語り合う場でネガティブになるのはどうでしょうか。自分に足りないもの、自分ができないことばかり語り合うことになるので、おそらく楽しい時間ではないはずです。
しかし、ネガティブ思考のほうが理想と現実のギャップに注目でき、「何が自分に足りないのか」を考えることで行動力の源になっているとエッティンゲン教授は自身の著書で触れています。
WOOPの4ステップ
目標を達成するにはポジティブな夢を見るのではなく、現実的に Wish (願望)、Outcome (結果)、Obstacle (障害)、Plan (計画) の4つのステップで確実に行動していくことが重要と言われています。
- Wish(願望)
まず、目標や願望を具体的に定義しましょう。目標は漠然としていてはいけません。たとえば、「健康的な体重を達成したい」というのではなく、「3ヶ月で体重を5キロ減らす」と具体的に設定します。”簡単すぎず・難しすぎない・それでいて重要”な目標が望ましいと言われています。 - Outcome(結果)
次に、目標を達成したときの具体的な結果を想像します。この段階では、目標達成によって得られる利益や幸福感に焦点を当てます。例えば、体重を減らすことでモテモテになってしまい、自己満足感が高まることをしっかりと想像します。 - Obstacle(障害)
目標達成の障害や困難を認識しましょう。何が目標達成を妨げる可能性があるか、そしてそれらの障害はどのようなものかを明確に把握します。例えば、忙しいスケジュール、食事の誘惑、運動へのモチベーションの低下などが障害として考えられます。 - Plan(計画)
最後に、目標を達成するための具体的な計画を立てます。障害を克服するための具体的な行動ステップを考えましょう。たとえば、毎週ジムに通うスケジュールを作成し、食事を健康的な選択肢に切り替える方法を検討します。
ネガティブベースで計画する
ネガティブ思考ベースで現実的に物事を計画するWOOP法則を活用することで、目標達成の道筋を明確にし、モチベーションを高めることができます。
目標を具体的に設定し、成功のイメージを描き、障害に対処する計画を立てることは、あなたの成功に向けた重要なステップです。WOOP法則を実践して、あなたの目標達成をサポートしましょう。
(参考文献)
ガブリエル・エッティンゲン「成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則」大田直子訳, 講談社 (2015) https://amzn.to/471kDRN
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