フォールス・コンセンサス効果

他者/自己

フォールス・コンセンサス効果とは

フォールス・コンセンサス効果(False consensus effect、偽の合意効果)とは、他人が自分と同じ意見を持ち、同じように行動すると考えてしまう人間の思考の偏りのこと。

例えば、特定の政党を支持したり、特定の行動をした時に他の人々も同じように考え、行動するだろうと考えてしまう傾向のことです。

1977年にアメリカの社会心理学者リー・ロスらによって発表されました。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

みんな僕のこと大好きなはず!

イトケン
イトケン

思い込みというか、期待だねソレ・・

 

 

自分の経験や視点を他の人に一般化する

フォールス・コンセンサス効果は、個人が自己の意見や行動を他の人々にも当てはまると過大評価する傾向を指す心理学の概念です。

具体的には、ある人が特定の意見、価値観、行動を持つと、他の人々も同じように考え、行動すると仮定する傾向があります。

この効果は、自己中心的なバイアスとも関連しており、自己の経験や視点を他の人に一般化することによって生じます。

フォールス・コンセンサス効果を調査した、リー・ロスの「サンドイッチマン実験」が有名です。

実験
実験参加者に体に看板を付けて(いわゆるサンドイッチマンになって)、街を歩き回るよう依頼しました。そして、その依頼を承諾した人、拒否した人の両方にこの質問をします。

「他の人に同じことを頼んだら、やってくれると思う?」

承諾した人「他の人もやると思う」58%
拒否した人「他の人もやらないと思う」70%


結論:自分と同じように他の人も選択をするはずと思い込みやすい!

 

 

フォールス・コンセンサス効果のメカニズム

フォールス・コンセンサス効果のメカニズムは、以下の要因に起因しています。

自己の経験の一般化
人々は自分の経験や意見を通じて世界を理解し、その経験に基づいて他の人々の行動や意見を推測しようとします。自分と似たような経験を持つ他の人も同じように考えるだろうと仮定するのが一般的です。

自己の正当化
自己の意見や行動を正当化し、他の人々との共感を感じるために、フォールス・コンセンサス効果が活発化することがあります。これにより、自分の選択が「正しい」ものであるかのように感じられます。

 

 

フォールス・コンセンサス効果の思い込みから脱却する

私たちの日常生活において、フォールス・コンセンサス効果は様々な対立や誤解を呼ぶ可能性があります。相手も同じように考えているだろうと仮定してしまうことが、スムーズなコミュニケーションを阻害してしまうということです。

また、チームや集団で意思決定を行う際、一部のメンバーがフォールス・コンセンサス効果に影響を受けていると、適切な意思決定が阻害される可能性があります。多様な視点を考慮に入れず、同質化された意思決定が行われることがあります。
以前こちらの記事でご紹介した「アビリーンのパラドックス」もフォールス・コンセンサス効果の影響から発生しているものです。

 

そんなフォールス・コンセンサス効果の思い込みから脱却することは、より効果的なコミュニケーションや意思決定を支援するのに役立ちます。以下は、フォールスコンセンス効果を克服する方法の一例です。

他の人の視点を尊重する
他の人々の異なる意見や経験を尊重し、違いを受け入れることが大切です。

情報収集
意思決定前に、多くの情報源から情報を収集し、客観的な視点を持つ努力をすることが重要です。

自己認識と批評的思考
自分の持つ「当然」は、単なる自分の期待ではないか。自己のバイアスや前提を認識し、自己批評的思考を促進しましょう。

フォールス・コンセンサス効果は、我々の社会的な認知において一般的な傾向ですが、その影響を理解し、適切に対処することで、より対話的で効果的なコミュニケーションや意思決定が可能となります。

他の人々との違いを尊重し、多様性を受け入れることが、より良い社会関係の構築に寄与します。

(参考文献)
Ross L., Greene D. & House, P. (1977). The false consensus effect: An egocentric bias in social perception and attribution processes. Journal of Experimental Social Psychology 13 

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