紅茶の違いのわかる婦人

統計学
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紅茶の違いのわかる婦人とは

紅茶の違いのわかる婦人(ミルクティー判別実験、Lady tasting tea)とは、人の主観的な感覚が本当に信頼できるのかを、科学的に検証するために考案された有名な統計学の実験です。

 

この実験を考えたのは、イギリスの統計学者ロナルド・A・フィッシャーです。

1930年代、彼が研究仲間とお茶を飲んでいたとき、同僚の藻類学者ミュリエル・ブリストル

 

M・ブリストル
M・ブリストル

私、紅茶に先にミルクを入れたか、後から入れたかを判別できる!

 
と言いはじめたことがきっかけでした。

多くの人なら「そんなの気のせいでしょ」で終わらせる場面ですが、フィッシャーは違いました。
その主張が本当かどうか、感覚ではなく“実験”で確かめようと考えたのです。

こうして生まれたのが、「紅茶の違いのわかる婦人」という、統計学における仮説検定の原点とも言われる実験です。

 

 

ミルクティー判別実験

フィッシャーは8杯のミルクティーを用意しました。

そのうち4杯は紅茶にミルクを注いだもの。そして残りの4杯はミルクに紅茶を注いだものです。

これを1杯ずつ飲んでいき、紅茶が先のものか、それともミルクが先のものかを言い当てる実験です。

1杯ぐらいなら偶然正解することぐらいあるでしょう。(正答率50%)

では、2杯連続正解はどうでしょうか?(正答率25%)

3杯連続正解はなかなかないでしょう。(正答率12.5%)

 

1杯正解50%
2杯連続正解25%
3杯連続正解12.5%
4杯連続正解6.25%
5杯連続正解3.125%
6杯連続正解1.5625%
7杯連続正解0.78125%
8杯連続正解0.390625%

 

このように、連続して正解する確率は回数を重ねるごとに少なくなっていきます。

50%や25%ならば、当てずっぽうで偶然正解することもあるでしょう。

しかし、5杯連続正解は3.125%、6杯連続正解は1.5625%です。これを偶然正解できることはなかなかありません。

では、どこまでが偶然なのでしょうか。

一般的に統計学の世界では、5%が有意水準と呼ばれる基準点になっています。

つまり、5%を切ることがあれば、それはもはや偶然の正解ではなく、ミルクティーの味の違いを判別できているとみなします。

今回の実験では5杯連続正解の確率が3.125% になるので、統計学上は5杯連続正解した時点で、それは偶然ではなく、味を判別できているということになります。

もちろん本当に、たまたま3.125%の連続正解を引き当てた可能性も残っているので、少々強引な解釈に思えるかもしれません。

しかし逆にいうと、この「味を判別できている」という統計学上の結論が、誤っている可能性は3.125%しかありません。

このようにフィッシャーは、連続正答率に注目し「たまたま正解しているだけである」ことを仮説とすることで「味を判別できている」ことを立証しました。

なお、この実験でブリストルは、なんと8杯連続ミルクティーの判別に成功しています。

 

 

実験の意義

 

フィッシャーのこの実験は、ある仮説が正しいかどうかを統計的な証拠に基づいて評価するために、正反対の仮説を使う統計学の手法の良い題材とされています。

具体的には、帰無仮説(偶然言い当てているだけである)に対する対立仮説(本当に紅茶の違いを識別できる)を検証するプロセスを体験できます。

紅茶の違いがわかる婦人の実験は、科学的な問いに対して統計学がどのように応答するかを示す素晴らしい例です。

この実験から、私たちは日常生活で直面するさまざまな疑問や主張を、論理的かつ科学的に検証する方法の重要性を改めて認識させられます。

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