なぜなぜ分析とは
なぜなぜ分析(5 Why Analysis/Why-Why Analysis)とは、起きた問題に対して「なぜ?」を繰り返し問いかけることで、表面的な原因ではなく、本当の原因(根本原因)にたどり着こうとする思考法です。
この手法は、トヨタ生産方式(TPS)の中で体系化されたことで広く知られるようになりました。特に、トヨタ自動車の生産方式を築いた大野耐一が、現場改善の考え方として重視していたことで有名です。
ただし、「5回なぜを繰り返す」という形そのものを、論文などで明確に定義・提唱した人物がいるわけではありません。
現場での実践知として磨かれ、後に「なぜなぜ分析」という名前で整理された方法だと考えるのが正確です。
また「5回」という数字も目安であって絶対ではないという点です。
本質は、人や運のせいにせず、構造や仕組みに原因を探しにいく姿勢にあります。
表面的な原因から「構造的な原因」へ
なぜなぜ分析の最大の特徴は、最初に見えている原因を「答え」だと思わないことです。
たとえば、「仕事でミスが起きた」という問題があったとします。
ここで止まってしまうと、「確認不足だった」「注意力が足りなかった」といった、個人の問題に帰着しがちです。
なぜなぜ分析では、そこからさらに問いを重ねます。
このように掘り下げていくと、問題の本質が「個人の注意力」ではなく、仕組みや設計の問題にあることが見えてきます。
ここで重要なのは、
・「誰が悪いか」を探さない
・一回の「なぜ」で満足しない
・気合や精神論で終わらせない
という点です。
なぜなぜ分析は、責任追及のための道具ではなく、再発防止のための思考法なのです。
自責せずに、行動を変えられる
なぜなぜ分析は、工場やビジネスの現場だけでなく、日常生活にもそのまま応用できます。
たとえば、「最近いつも時間に追われている」という悩みがあったとします。
そこで「自分は要領が悪いからだ」と結論づけてしまうと、何も変わりません。
なぜなぜ分析では、まず事実から問いを立てます。
ここまで来ると、「性格」ではなく、見積もりの立て方や予定の組み方に改善点があると分かります。
この方法の良いところは、自分を責めずに、行動を変えられる点です。
「ダメな自分」ではなく、「変えられる仕組み」に目が向くようになります。
また、他人とのトラブルにも使えます。
誰かの言動にイライラしたとき、
「なぜあの人はああいう態度を取ったのか」
「なぜ自分はそれに強く反応したのか」
と問いを重ねることで、感情だけで終わらない整理ができます。
ただし、なぜなぜ分析には注意点もあります。
問いが「なぜそんなことをしたんだ」と尋問の形になると、相手を追い詰めるだけになります。
大切なのは、問題を解決したいという前提で、静かに問いを重ねることです。
なぜなぜ分析は、答えを出すためのテクニックというより、「すぐに分かった気にならない姿勢」を身につけるための思考法です。
表面で止まらず、一段深く見る。それだけで、同じ失敗を何度も繰り返す確率は、確実に下がっていきます。
(参考文献)
浅川富昭「効率的な真因追求のためのなぜなぜ分析の進め方」ブイツーソリューション (2009) https://amzn.to/3wrNlyC



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