ノミナル・グループ技法

アイデア
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ノミナル・グループ技法とは

ノミナル・グループ技法(Nominal Group Technique:NGT)とは、発言力や立場の差に左右されず、参加者全員の意見を公平に集め、整理し、優先順位まで決めるための話し合い手法です。
この手法は1970年代に、アンドリュー・ヴァン・デ・ヴェンらによって体系化されました。

会議になると一部の人だけが話し、他の人は́が黙ってしまう――そうした問題を解決するために生まれた方法です。

「ノミナル(名目上の)」という言葉が示す通り、最初は集団でありながら、実質的には個人で考える点が大きな特徴です。

ブレインストーミングと似ているように見えますが、ノミナル・グループ技法は意見収集から意思決定までを一貫して行う点で、より構造化された手法と言えます。

 

 

ノミナル・グループ技法の具体的な進め方

ノミナル・グループ技法は、基本的に次の流れで進みます。

 

STEP1:テーマを明確にする
まず司会者が、話し合うテーマや解決したい課題をはっきり提示します。
「何について考えるのか」が曖昧だと、後の意見が拡散してしまいます。
短く、具体的な問いの形にするのがポイントです。

STEP2:沈黙の中で個人アイデアを出す
次に、参加者全員が一切話さずに、紙や付箋に自分のアイデアを個別に書き出します。この段階では、他人の意見を見ないことや、質より量を意識することが重要です。
この「沈黙の時間」が、ノミナル・グループ技法の核になります。

STEP3:順番にアイデアを共有する
アイデアを書き終えたら、順番に一人ずつ一案ずつ読み上げます。
司会者は、それを全員が見える形で記録します。ここでは、批評、補足説明や議論は行いません。淡々と「出す」ことに集中します。

STEP4:内容の確認だけを行う
すべての意見が出そろった後、「意味が分からない点」「表現の確認」といった最低限の質問だけを行います。賛成・反対や評価は、まだ禁止です。

STEP5:個人で評価・順位付けをする
最後に、各自が重要だと思う案に点数や順位を付けます。
たとえば、上位3つに「3点・2点・1点」を付ける、といった方法です。
評価は必ず個人で行うのがポイントです。

STEP6:集計して結果を共有する
点数を集計すると、グループとしての優先順位が自然に浮かび上がります。
ここで初めて、「どれを採用するか」「次に何をするか」といった意思決定や議論に進みます。

 

このように、ノミナル・グループ技法は
個人 → 集団 → 個人 → 集団
というリズムで進む、非常に設計された手法です。

 

 

ノミナル・グループ技法のメリット

ノミナル・グループ技法の最大のメリットは、声の大きさではなく、意見そのものが評価される点にあります。内向的な人や立場の弱い人の考えも、確実に場に出てきます。

また、最初に沈黙の時間を設けることで、「空気を読む」「上司の意見に合わせる」といった同調圧力が大幅に弱まります。

さらに、意見を出すだけで終わらず、優先順位まで決められるため、「話し合ったけれど何も決まらなかった」という会議を防げます。

ノミナル・グループ技法は、創造性を爆発させる手法ではありません。
その代わりに、公平さ・納得感・実行しやすさに強みがあります。

意見が偏りやすい会議や、重要な意思決定が求められる場面ほど、この手法は静かに、しかし確実に力を発揮します。

(参考文献)
A Guide to the Project Management Body of Knowledge, Project Management Institute

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