ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果(Pygmalion effect)とは、他者から期待されることで、その期待に沿った行動や成果が実際に生まれる現象を指します。
「期待が人を育てる」「信じられると伸びる」と言われる背景にある心理効果です。
この効果は、1960年代に社会心理学者の ロバート・ローゼンタール と教育学者のレノア・ジェイコブソンによって提唱されました。
彼らは学校での実験を通じて、教師の期待が生徒の成績や行動に影響を与えることを示しました。
ローゼンタールは1964年、サンフランシスコの小学校である実験を行いました。
実験では、A組、B組を担当する担任教師にこう告げるところから始まります。

あなたが担当する2つのクラスのうち、実はA組のほうは優秀なクラスなんです。

そうなんですか…
実はこれはウソの情報で、本当は2つのクラスに成績の差はほとんどありませんでした。
しかし、なんとその後、A組の成績だけが本当にぐーんと向上してしまいました。

重要なのは、期待が「能力を直接変える」のではなく、周囲の接し方や本人の自己認識を通して、結果に影響を与えるという点です。
ピグマリオン効果が働く仕組みと使い方

ピグマリオン効果が起こるプロセスは、段階的です。
まず、期待をかける教師側が、無意識のうちに
- 声かけが増える
- ポジティブなフィードバックを与える
- 挑戦の機会を多く与える
といった行動を取るようになります。
その結果、期待されている生徒側は
「自分はデキる存在なのかもしれない…」
と自己評価を高め、行動量や粘り強さが増します。
この積み重ねが、実際の成果や成長につながるのです。
「根拠のない過度な期待」を押し付けるのではなく、プロセスや努力に対して期待を示すことがポイントです。
たとえば、「結果はまだだけど、この取り組み方は良いね」といった声かけは、プレッシャーを与えすぎずに期待を伝える方法です。
人の可能性を引き出す
ピグマリオン効果の最大のメリットは、人の可能性を引き出すきっかけを作れることです。
能力や才能は、最初から固定されているわけではありません。
周囲の関わり方次第で、「挑戦していい」「成長していい」という心理的安全性が生まれます。
また、この効果は他人だけでなく、自分自身にも向けられる点が重要です。
「自分にはできるはずだ」
と前提を置くだけで、行動の質は変わります。
一方で、低い期待をかけ続けると、その通りに振る舞ってしまう「逆ピグマリオン効果」も起こり得ます。
だからこそ、ピグマリオン効果は人を操作するための技術ではなく、成長を信じる姿勢そのものだと捉えることが大切です。
期待の向け方を少し意識するだけで、人も、自分も、思っている以上に伸びていく余地があるのです。
(参考文献)
Timmermans, A. C., Rubie-Davies, C. M., & Rjosk, C. (2018). Pygmalion’s 50th anniversary: the state of the art in teacher expectation research. Educational Research and Evaluation



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