シャーデンフロイデ

メンタルヘルス
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シャーデンフロイデとは

シャーデンフロイデ(Schadenfreude)とは、「他人の不幸や失敗を見て、内心で快感や安堵を覚えてしまう感情」を指す言葉です。
ドイツ語で Schaden(害・損失) と Freude(喜び) を組み合わせた語で、日本語では「他人の不幸は蜜の味」に近い意味合いを持ちます。

この概念は、特定の学者が提唱した心理理論ではありませんが、古くから人間社会に存在してきた感情を、ドイツ語がうまく言語化したものだと考えられています。そのため、心理学・社会学・哲学など、さまざまな分野で横断的に研究・議論されてきました。

重要なのは、シャーデンフロイデが「性格の悪さ」そのものではなく、多くの人が条件次第で抱きうる、ごく人間的な感情だという点です。

 

 

なぜ人は他人の不幸を喜んでしまうのか

シャーデンフロイデが生まれる背景には、いくつかの心理メカニズムがあります。

① 社会的比較による安心感

人は無意識のうちに、他人と自分を比較しながら生きています。
誰かが失敗すると、「少なくとも自分はそこまで落ちていない」と感じ、相対的な安心感を得ることがあります。これは自尊心を守るための、自然な防衛反応とも言えます。

② 優越感・立場の逆転

特に、「成功者」、「偉そうに見えた人」、「自分より上だと感じていた相手」が失敗したとき、シャーデンフロイデは強くなりやすい傾向があります。
これは「上下関係が一時的に逆転した」という感覚が、小さな勝利感を生むためです。

③ 公平感情の回復

「ズルをしていた人」「調子に乗っていた人」が失敗した場合、人はそれを「罰が下った」「因果応報だ」と解釈しがちです。
このとき生まれるのは残酷な喜びというより、世界の公平さが回復したという感覚です。

このように、シャーデンフロイデは
・嫉妬
・不安
・劣等感
・正義感
といった感情が複雑に絡み合って生まれる現象だと考えられています。

 

 

シャーデンフロイデとどう向き合えばいいのか

シャーデンフロイデを感じたとき、「こんなことを思う自分は嫌な人間だ」と責める必要はありません。まず大切なのは、感じてしまうこと自体は自然だと理解することです。

そのうえで、日常生活に活かす視点がいくつかあります。

「自分は何に反応しているのか」を考える

他人の不幸を見て少しスッとしたとき、それは相手そのものではなく、「自分の不安」「劣等感」「焦り」が刺激されている可能性があります。
シャーデンフロイデは、自分の心の弱点を教えてくれるサインでもあるのです

情報との距離を調整する

炎上ニュースや失敗談ばかりを見続けると、一時的な快感の代わりに、「冷笑的になる」「他人を信じにくくなる」といった影響が出やすくなります。
「他人の失敗を見てしまう自分」を否定するより、見すぎない環境をつくることが現実的な対策です。

比較の軸を「他人」から「過去の自分」へ

他人の失敗で安心するより、「昨日の自分より少し前に進めたか」という基準に切り替えると、シャーデンフロイデは弱まります。
これは、他人の不幸に依存しない形で、自尊心を安定させる方法でもあります。

シャーデンフロイデは、「人間は必ずしも清く正しく生きられない」という現実を示す感情です。

それを無理に消そうとするより、自分を知るヒントとして扱うことができれば、この感情は、人生をこじらせる原因ではなく、むしろ内省のきっかけになってくれるはずです。

(参考文献)
「芸能人の謝罪会見見るとスッキリ、なぜ? カギは「シャーデンフロイデ」にある」朝日新聞GLOBE+ 朝日新聞社(2020)

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