ゆでガエルの法則とは
ゆでガエルの法則(Boiling frog)とは、ある状況がゆっくりと変化していくため、その変化に気付くことにできず、気付いた時にはすでに危機的な状況になっていることを示した教訓のこと。
この法則は、ある意味でコンフォートゾーンや習慣の力によって私たちが新しい状況に気付かないまま囚われてしまうことを説明しています。
環境や状況がゆっくり変化すると、我々の脳はそれに適応しようとしてしまい、その変化に注意を向けることなく過ごしてしまうことから発生すると考えられています。
そうか・・これも脳のしわざなんだね。
脳が「変化に順応」してしまうことは、この激動の世の中、あんまりいいことじゃないのかもね。
変化に気付けず命を落とすカエル
この法則の名前は、カエルを鍋の中に入れ、徐々に水温を上げてゆくという例えから来ています。
水温の上昇がゆっくりなので、カエルは逃げ出すことはありません。
しかし最後は、温度の変化に気付けないまま、熱湯の中で命を落としてしまうというものです。
(実際のカエルだと、ちょっとした温度変化にも気付いて途中で逃げ出すそうですが)
世の中の変化に気付けない
私たちの社会にも同じようなことが言えます。
世の中の流れや変化に気付けない人ほど、時代遅れの知識や常識をそのまま持ち合わせています。
時代遅れの考え方、パワハラ、差別的発言、おやじギャグ・・・いわゆる老害ってやつですね。
そしてそんな老害は、気付けば社会での居場所を失ってしまいます。
日本の半導体産業も気付けなかった
ここで1つのエピソードをご紹介します。
日本の半導体は何十年も壊れない優秀な製品だ!
それに比べ、他国の製品はたった数年で壊れてしまう三流品だ!
かつてそんなことを宣言していた日本の半導体メーカーがありました。
実際、日本の半導体は何十年も壊れることのないもので、それを目玉にして非常に高価ではありましたが高品質の半導体を作り続けました。
しかし、その半導体が組み込まれるパソコンやスマホなんて、利用者は数年で買い替えてしまいます。
確かにかつては、業務用機器向けに壊れない半導体が重宝されましたが、今の利用者はそこまでの品質を求めていません。数年しかもたない?数年もてば十分です。
残念なことに、日本の技術者はその時代の変化に気付くことができないまま、まさにオーバースペックとも言える非常に高価な半導体を作り続けてしまい、他社の安価な半導体にシェアを奪われる結果になりました。
最終的に日本の半導体産業が敗北してしまったのはご存知の通りです。
変化を恐れない
ゆでガエルの法則から学ぶべきことは、私たちのコンフォートゾーンに囚われすぎないことです。
新しい状況や変化に対して敏感であり、常に自分自身を見つめなおすことが大切です。
快適な状況でも、時には変化を受け入れて挑戦することで成長があるかもしれません。
また、先入観や固定観念も時には変化への抵抗となります。
(参考文献)
湯之上隆「日本半導体敗戦 イノベーションのジレンマ なぜ日本の基幹産業は壊滅したのか?」 光文社、(2009)
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