レミニセンス・バンプとは
レミニセンス・バンプ(Reminiscence bump)とは、10代~20代の青春時代の出来事ばかりやたら思い出してしまう現象のこと。
特に、音楽や映画、重要な人生の出来事などを、他の時期の記憶よりも鮮明に覚えている傾向にあります。
上記の図は、50歳の人の記憶に残っている事柄の数をグラフ化したものです。
50歳の人にとって、45歳の頃の記憶、40歳の頃の記憶、だんだんと昔の記憶が失われていることが分かります。
しかし、なぜか10代後半~20代前半の記憶についてはやたらお記憶が残っており、グラフ上で「こぶ」(バンプ)のようにみえるので、レミニセンス・バンプと呼ばれています。
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なぜ青春時代の記憶が鮮明なのか?
この時期の記憶が鮮明な理由はいくつかありますが、主な理由は以下の三つです。
自己形成の重要な時期
この年代は自己アイデンティティの形成が活発に行われる時期です。自分が誰であるか、そして何を価値あるものとするかを発見する過程で、経験した出来事が深く心に刻まれます。
新しい経験や挑戦が多い
人生で初めて経験することが多い時期です。初めての恋愛、初めての仕事、初めての独立など、これらの「初めて」は強い感情とともに記憶されます。
強い感情的体験
この年代は感情の起伏が激しく、強い感情を伴う出来事が多いです。感情が強ければ強いほど、その記憶は鮮明になります。
レミニセンス・バンプの影響
この現象は、私たちの人生において重要な役割を果たします。
過去の鮮明な記憶は、現在の自分を形成する上で大きな影響を与え、自己理解や人生の意味付けに深く関わっています。
また、音楽や映画などの芸術作品に対する愛着も、この時期の記憶と深く関連しています。
過去を振り返る時、特に若い頃の思い出が鮮明に蘇るのは、ただの偶然ではなく、心理学的な根拠があるのです。これを理解することで、自分自身の人生や思い出に対する理解が深まるかもしれません。
(参考文献)
アン・M・クリアリー、ベネット・L・シュワルツ「記憶現象の心理学」北大路書房(2022)https://amzn.to/3TT0Dho
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