公正世界仮説

他者/自己

公正世界仮説とは

公正世界仮説(Just-world hypothesis)とは、世の中は公正なものであるべきとする思い込みや信念のこと。

例えば、成功した人々は一生懸命努力した結果だと考え、不幸な人々は何らかの悪い行動による結果だと私たちは解釈してしまいがちです。

「良い行いをすると、良いことがある」
「悪い行いをすると、罰が当たる」

この道徳観を自分や他人や環境に求めてしまう心理的な傾向を表します。

1980年にアメリカの社会心理学者メルビン・ラーナーが自身の著書で提唱しました。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

良い行いをしたから、必ず良いことが起きるわけでもなく…

イトケン
イトケン

悪い行いをしたからといって、必ず悪いことが起きるわけでもない♪

 

 

「いじめられる方が悪い」のメカニズム

良い行いをすると良いことが起き、悪い行いをすると悪いことが起きる。

この思い込みから生まれるのが、いわゆる「被害者叩き」です。

いじめられている人が悩み苦しんでいる様子をみた第三者は、「こうなったのは、本人にも何か落ち度があったに違いない」と、被害者側を叩いてしまうことがあります。

第三者の心理メカニズムとしては、悪い行いをしていないはずの被害者が不幸に見舞われているという矛盾を解消するために「いや、きっといじめられる方にも何か問題があったのではないか」と考えてしまうわけです。(そうすることで、公正世界仮説という信念をギリギリ保っている)

いじめの被害者だけではなく、ニュースで報道されるような事件の被害者を非難したり、時には先天的な病気を持つ人にさえ「前世で悪いことをしたからだ」という無茶苦茶な論理を持ち出すのも、この公正世界仮説という思い込みから生まれています。

 

 

自らを振り返る戒めにもなる

公正世界仮説は、自己防衛の一環としても働くことがあります。

自分が不幸や困難に直面した場合にも、「まだまだ自分の努力が足りなかった」と、公正な世界観を維持しようとすることがあります。

これは、不安や不安定感を軽減し、自己評価を高める助けになることがあります。

 

 

自分を、他人を、客観視する

公正世界仮説は、私たちの世界観や他人に対する評価に影響を与える重要な心理学的な要素です。

理解することで、なぜ私たちは不正義を信じる傾向があるのか、また他人の行動や遭遇する出来事をどのように評価するかについて洞察を深めることができます。

この理論を知識として持つことは、他人との関係をより理解し、共感するための一歩となるでしょう。

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