ストライサンド効果

教訓

ストライサンド効果とは

ストライサンド効果(Streisand effect)とは、隠したい情報を隠そうとすればするほど、逆にその情報を広く拡散させてしまう結果となる現象のこと。

有名人や企業がネット上で噂や批判が広がるのを避けようとした結果、逆にその情報が更に広まってしまい炎上するケースも典型的なストライサンド効果によるものです。

後述するインターネット上の盛り上がりを経て、2005年にITニュースブログ「Techdirt」の管理人マイク・マズニックがブログ記事内で命名しました。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

隠そうとすると、かえって気になるもんね。

イトケン
イトケン

はじめから隠さなければいいじゃん。

 

 

隠そうとすると、目立ってしまう

実際の写真  (C) 2002 Kenneth & Gabrielle Adelman、California Coastal Records Project

2003年、アメリカの歌手で女優のバーブラ・ストライサンドは、許可なく自宅を撮影されたとしてプライバシー侵害の訴訟を起こしました。

訴えられたのは環境保護活動家でシリコンバレーの実業家のケネス・エーデルマン。
彼は、なにもパパラッチ精神でストライサンドの自宅を撮影したわけではなく、アメリカ政府が推し進める「カリフォルニア海岸記録計画」のプロジェクトの一環としてカリフォルニア州の海岸線の航空写真を撮影し、そしてそれをネット上で公開していました。
これは海岸の浸食の進行を研究するプロジェクトで、12,000を越える膨大な航空写真を使った大規模なものでした。

そしてストライサンドの主張は、この中の1枚の航空写真に自宅が写り込んでいるといったもの。その写真の削除を求めての訴訟でした。

ところが、訴訟を起こしたことがきっかけで返って注目を集めてしまい、その航空写真は42万ものウェブアクセスを生み出す結果になってしまいます。

ちなみに訴訟を起こす前、この写真の閲覧数はたった6だったとのこと。
しかもそのうちの2閲覧は弁護士によるもの、ストライサンド自身もこの写真を閲覧しているはずなので、他人の目に触れたことは限りなくゼロに近かったはずと言われています。

自宅写真の公開を削除するために訴訟を起こした結果、ネットやメディアの関心を集めてしまったというエピソードから、隠そうとすると返って情報を拡散させてしまうストライサンド効果と名付けられました。

なお、訴訟の行方はというと、「これは単に海岸線を撮影した写真である」と却下され、訴えは退けられています。

 

 

なぜストライサンド効果が発生するのか

ストライサンド効果が起こる理由は、人々の興味本位や好奇心が影響しています。

普段あまり注目されない情報が、一度「秘密」や「隠されたもの」としてクローズアップされると、人々はなぜそれが隠されているのか、何がそこにあるのかを知りたくなるものです。

また、インターネットの特性も影響しています。ネット上では情報が簡単に拡散され、SNSやニュースサイトなどが情報を拡散する要因となります。

その結果、本来は限られた人々にしか知られていない情報が、逆に多くの人々に広まってしまうことがあります。

(参考文献)
エゴ (強敵) を抑える (コントロール) 技術 ライアン・ホリデイ(2016)

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