オレンジジュース・テストとは
オレンジジュース・テスト(Orange juice test)とは、交渉相手が優秀な人であるかを見極めるための問答のこと。
アメリカのコンピュータ・サイエンティストであり、人類学者のジェラルド・M・ワインバーグによって紹介された、ビジネスコンサルティングの重要な教訓を示したものです。
このオレンジジュース・テストは、あるホテルにパーティーの予約の問い合わせをするシーンから始まります。
「そちらのホテルで宴会をやりたいんですが、可能ですか?」
(条件1)
参加者は700人で、朝7時から始めたい。
(条件2)
搾りたて2時間以内のオレンジジュースで乾杯したい。
この問い合わせに対し、ホテルの担当者はどのように回答するでしょうか。どんな回答をするかで、その担当者が優秀な人か、それともポンコツ野郎かがハッキリするとした考え方です。
回答1
「お安い御用です。」→ ポンコツ担当者
700人分の搾りたてオレンジジュースを朝7時に準備することは、想像以上にとても大変な作業です。しかし、「お安い御用です。」と答えてしまう担当者は、要件の重大さを理解する力を持ち合わせていないということ。こーゆー人に限って、あとから「やっぱりできません」とか、「缶ジュースじゃダメですかねー」なーんてこと言い出すもんです。
回答2
「できません。代わりにお酒では…」→ ポンコツ担当者
「それはできません。うちのホテル自慢のお酒で乾杯するのはいかがでしょう?」と答えたなら、これも担当者として失格です。できないことはできないとハッキリ答え、代替案も提示しているので一見よさそうですが、客の要望に「できません」なんて原則言うべきではありません。また、どんなサービスを求めているか、要件を決めるのはホテル側じゃなくって客側ですよね。
回答3
「それでしたら、別料金が発生します。」→ 優秀な担当者
では、優秀な担当者はなんと答えるのか。それが「なんとかできると思います。でもこれだけの別料金が発生します。」
事の重大さを理解し、それを実現させるにはどれだけのホテル側作業が必要かを把握。しかもそれを依頼主の判断材料とすべく金額換算して提示しています。顧客のニーズに応えつつ、現実的な制約を考慮したバランスの取れた対応が出来ているというわけです。
確かに・・作業量が分かってないと、金額を示せないもんね。
ハッキリ伝えるべきなのは代替案じゃなく、別料金という前提条件の存在なんです。
優秀な人間は、顧客の要望に現実的な対応をする
オレンジジュース・テストは、顧客の要求に現実的かつ建設的に応えているかというポイントをもとに担当者が優秀な人間かどうかを判断するとした教訓です。
また、このテストは、ビジネスにおいて顧客との関係を築く上での基本的な原則を教えてくれます。
顧客との信頼関係を保ちながら、現実的な対応策を提案することで、長期的な成功を築くことができます。常に顧客のニーズを理解し、実現可能なソリューションを提示することが重要です。
(参考文献)
ジェラルド・ワインバーグ「コンサルタントの秘密」共立出版(1991)https://amzn.to/41ETPFW
コメント