良い警官・悪い警官戦術とは
良い警官・悪い警官戦術(Good cop/Bad cop tactics)とは、意図的に悪者を作ることで、自分は交渉しやすい人物であると相手を錯覚させ、相手の妥協を引き出す交渉術のこと。
警察の取り調べ室で、威圧的な刑事と人情的な刑事を順番に取り調べさせると、そのうち容疑者は人情的な刑事と良い関係を築こうとする人間心理が働くといったものです。
取り調べ室でカツ丼、食べてみたい♪
優しい刑事さんなら、上うな丼にしてくれるかな…
良い警官・悪い警官戦術のメカニズム
良い警官・悪い警官戦術は、2人1組で行う交渉術です。
一人は理解があり、同情的な「良い警官」として振る舞い、もう一人は厳しく、時には敵対的な「悪い警官」を演じます。この対照的なアプローチにより、容疑者が心を開き、情報を提供することを目指します。
威圧的な刑事
「お前がやったんだろ!!」
人情的な刑事
「君だって辛かったんだろ…」
お前がやったんだろー!って全面的に罪を認めさせる威圧的な刑事。
君にだって事情があったんだよね・・って優しく動機を伺う人情的な刑事。
これ、実は両方とも「要するにお前が犯人だろ?」って言っています。違いがあるとするならば、全面的に罪を認めさせるか、まず動機だけを認めさせるかの差です。
この時、容疑者は、この犯行動機だけを認めさせる人情的な刑事の案は妥協案のように感じます。
でも、実際は犯行動機が自白できれば2人の刑事たちにとっては目的達成です。そのために最初から2人はグルだったってことです。
心を揺さぶってくるのは悪玉役
この良い警官・悪い警官戦術は、私たちの日常でもよく見られます。
典型的な例が、上司を悪者にして交渉事を有利に進めるテクニックです。
不動産業者さん
ご自宅の売却額ですが1500万円は厳しいです。
私も1500万円で進めたかったんですが、
どうしても上司が1300万円と言ってまして。
…わかりました1400万円で上司を説得してみます!
上記の例では、上司を悪者にして100万円の値切り交渉に成功しています。
そして、(よくある話ですが)そもそもそんな上司なんて人は存在していないことも少なくありません。
つまり、良い警官・悪い警官戦術では、必ずしも悪玉役は実在する必要がないということです。
むしろ、ビジネスの場なんかでは、悪玉役がその場に同席しないってところがポイントになっており、妥協する側からするとやっかいな存在です。
基本的に心を揺さぶってくるのは悪玉役の提案です。
そっちを無視して冷静に慌てず、目の前の相手と交渉を進めることが鍵になってきます。
プレッシャーを利用した心理戦
良い警官・悪い警官戦術は、捜査や交渉の際に有用なテクニックとなることがありますが、その使用には注意が必要です。
心理的なプレッシャーをかける手法は、倫理的な問題を引き起こすこともあり、誤った結果を生む可能性があります。この手法を使用する際には、その効果とリスクを慎重に考慮する必要があるでしょう。
(参考文献)塩野誠「プロ脳のつくり方」ダイヤモンド社(2007)https://amzn.to/47pAqdw
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