漂流理論とは?
「漂流理論」(Drift Theory)とは、非行少年は悪に没頭しているのではなく、善と悪の間を行き来しながら選択的に悪さをしているとした考え方のこと。アメリカの社会学者デイビット・マッツァが提唱しました。
未成年は心が不安定なのかな?
不安定なのも未成年だし、心の基盤を作るのもこの時代なんだよね。
非行少年は悪に染まっているわけではない。
現代の若者は普通の生活を前提としつつも、時に自ら法を犯す行動をしてしまうこともあるという理論。
裕福な家庭で生まれ育ち、ご近所にもちゃんと挨拶ができる評判の子が犯罪に手を染めてしまうといったニュースも時々耳にします。
いい子だったのになぜ?悪い友達と付き合っているからこんなことになったのでは?
マッツアの言葉を借りると、彼らは優等生と非行少年の間を行ったり来たり、まさに漂流しているわけです。
彼らを善に固定するのは社会の役割
たしかに言われてみれば、若い頃はやんちゃしていたけど、今は真面目にお仕事を頑張っているという人はたくさんいますよね。
反抗期も手伝ってか、学校の先生に暴言を吐いたことのある人も多いんじゃないでしょうか。
つまり、若者っていうのは、そもそも非常に不安定なメンタルにあるわけです。
そして、選択的に悪さを行ってしまいますが、彼らは決して悪に染まっているわけではありません。善と悪をふらふらと漂流しているわけです。だからこそ少年犯罪は罰を与えることよりも、更生させることを第一に考えられます。
そんな不安定な若者を善に落ち着かせるのは社会の役割です。
少年犯罪の再犯率をグーンと下げるために3つのことが重要だと言われています。
1つが、価値観や目標を自覚させるということ。
2つ目が、年齢が違い人から助言を与えるということ。
3つ目が、信頼できる学校の先生との結びつき。
社会を通してこの3つから学ぶことができた少年の再犯率は69%から29%に激減するという研究結果が報告されています。(スタンフォード大学心理学部グレゴリー・ウォルトン教授)
最近はバイトテロなど、若者の軽率な行動で社会に大きな影響を与えてしまう事件が残念ながら発生しています。犯してしまった罪に対して償いをするのは当然のことですが、二度と同じ過ちを犯さないよう彼らを受入れる社会というものも大切ではないでしょうか。
(参考文献)
D・マッツァ著 非行理論研究会訳「漂流する少年―現代の少年非行論」 成文堂 (1986)
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