凶器注目効果

犯罪心理

凶器注目効果とは

凶器注目効果(Weapon focus effect)とは、犯罪現場で目撃者が犯人の持つ凶器に過度に注意を向け、その結果、犯人の顔や姿に関する記憶が不正確になる現象のこと。

1987年にアメリカの心理学者エリザベス・ロフタスが提唱しました。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

目撃者の証言があいまいになるってヤバいよね!

イトケン
イトケン

犯罪現場に居合わせただけで過呼吸になりそうだよ僕ぁ・・

 

 

なぜ凶器注目効果が起きるのか?

凶器注目効果は、以下の要因によって引き起こされると言われています。

これらは、凶器を目にすることで冷静ではいられなくなり重要な記憶が抜けてしまう覚醒仮説(Arousal hypothesis)を元にした要因です。

ストレスと焦点
犯罪現場は通常、非常にストレスの高い場所です。この状況下では、目撃者は生命の危険に対処しようとするため、凶器に注目しやすくなります。

脅威への反応
凶器は明らかな脅威と見なされ、目撃者は自己防衛本能から凶器に対処しようとします。これにより、凶器への注意が犯人の外見や行動に対する注意を圧倒してしまいます。

記憶の不正確性
目撃者が興奮状態にあるため、情報を正確に記憶することが難しくなります。凶器への注意が高まることで、他の情報が歪んで記憶される可能性が高まります。

情報の選択的処理
目撃者の脳は情報を選択的に処理し、最も重要だと感じる情報に集中します。そのため、凶器が目立つ場合、他の情報が二次的になり、不正確な記憶が形成されることがあります。

 

 

凶器注目効果、凶器じゃなくても起きる説

そしてもう1つ、自分が「犯罪の目撃者」になるという珍しい状況こそが、凶器注目効果を引き起す最も大きな要因であるとも言われています。

これは新奇性仮説(unusual item hypothesis)と呼ばれ、ある実験が行われました。

【実験】
カフェに強盗に入った犯人の要求:
「金を出せ!出さないと、このガチョウの首を絞める!」


結果:カフェの店員や客は、ガチョウの存在に気を取られ犯人の顔を思い出せない。

つまり、命を脅かす凶器じゃなくても珍しい状況ならば、十分そっちに気を取られてしまうとした考え方です。

 

 

証言の信頼性を向上させるために

犯罪捜査において、目撃者の証言は事件の真相を解明する鍵となります。

しかし、凶器注目効果が記憶に影響を及ぼしてしまう可能性があるため、証言の信頼性を向上させる目的で警察官や法執行機関などは訓練・教育を受けています。

記憶の歪みを最小限に抑えるために迅速な取り調べを心がけたり、オープンな質問を用いることで、目撃者から主観的な情報を引き出そうとします。また、複数の目撃者からの証言を照合し、共通の要素や差異を特定します。複数の証言が一致する場合、信頼性が高まります。

証言の信頼性を高め、事件の解明に貢献します。凶器注目効果の影響を最小限に抑え、正確な判決を下すために、証言の収集と分析に十分な注意を払いましょう。

 

 

人間の記憶の特性を理解し、事件の解決につなげる

凶器注目効果は、犯罪現場での目撃者の証言に影響を与える現象です。

犯罪の捜査において、この現象を理解し、適切な対策を取ることが、正確な証言と事件の解決につながります。証言の信頼性を向上させるためには、目撃者と警察の協力が不可欠です。

凶器注目効果は、私たちがどのように情報を処理し、記憶するかについて興味深い洞察を提供しています。

犯罪捜査や心理学の分野において、さらなる研究が行われることで、より正確な証言と犯罪の解明が可能になることでしょう。

(参考文献)
原田佑規「凶器注目効果と有効視野」九州大学心理学研究(2016)

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