コンコルド効果

意思決定

コンコルド効果とは

コンコルド効果(Concorde effect)とは、損失が拡大することが分かっていながら、これまでの投資を惜しみ、投資を続けてしまう心理現象のこと。サンクコスト効果、コンコルドの誤り等とも呼ばれます。なお、ここでの投資とは、金銭的なものだけではなく、時間的、精神的なものも含みます。

 

コンコルド効果は、1960年代に開発された超音速旅客機コンコルドに由来しています。

Jeroen Stroes Aviation Photography from Netherlands – g-boab CC by 2.0 (https://commons.wikimedia.org/wiki/File:G-boab_(32758231448).jpg)

この飛行機は高い技術力と革新的なデザインを持ちながらも、燃費が悪く、収容人員も少なかった為、飛べば飛ぶだけ赤字になることが開発段階から分かっていました。

しかし、これまで開発に費やした多額の投資と労力を惜しんでしまい、中止を決断することできず、2003年まで約30年間も世界の空を飛び続けることになりました。

この超音速旅客機コンコルドの商業的失敗が、コンコルド効果の由来となっています。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

なんで赤字になるって分かってたのに、続けちゃうの?

イトケン
イトケン

今までの労力が水の泡になるからじゃね?でも、どこかで損切りしないと。

 

 

なぜコンコルド効果が起きるのか?

ビジネスインサイダージャパン2018年11月8日の記事「コンコルドのラスト・フライトから15年、写真で見る栄光と失敗」より(https://news.line.me/detail/oa-businessinsider/0bce1aa55e88)

時に私たちは冷静な判断ができなくなり、損失を知りながらも投資を続けてしまうことがあります。

今後、投資をするかどうか意思決定をする場合、過去の埋没費用は考慮に入れず、今後の損益だけを考えるのが合理的な判断です。

しかしながら、過去の投資で失った費用、労力、時間を「もったいない」と感じてしまい、もう戻ってこない過去の損失を惜しんでしまうことで冷静な判断ができなくなってしまうのです。

以下の要因がコンコルド効果の発動に関係していると考えられます。

認知的不協和
人間には、過去の選択に固執し、それに対する投資が無駄になることを避けたいという心理的傾向があります。投資した時間やお金を無駄にしたくないという思いから、損失を認めることが難しくなることがあります。

現状維持バイアス
変化や未知を受け入れられず、現状のままでいたいとする現状維持バイアスもこのコンコルド効果に影響を及ぼしていると言われています。

希望的観測
私たちは、将来的な成功や回復を信じる傾向があります。損失を取り戻すためには投資を続ける必要があるという幻想にとらわれ、リスクを冒すことをためらうことがあります。

社会的プレッシャー
周囲の人々が同じ投資に取り組んでいる場合、群れの心理が働き、自分も投資を続けるよう誘導されることがあります。

 

 

コンコルド効果を回避する方法

冷静な判断
損失を最小化するために冷静な判断を心がけましょう。過去の投資にとらわれず、現実的な損益分岐点を見極めることが重要です。

情報収集と客観視
適切な情報収集を行い、リスクとリターンをバランスよく考慮して判断しましょう。感情に左右されないよう、客観的な視点を持つことが大切です。

計画変更ありき考える
長期的な投資計画を見直し、必要なら修正を加えることも考慮しましょう。目標や状況の変化に合わせて柔軟に対応することが重要です。

 

 

「もったいない」から、損失を出し続ける矛盾

コンコルド効果は、損失に対する認知や希望、社会的影響が絡み合い、投資判断を歪める心理現象です。冷静な判断と情報収集、計画の見直しを通じて、この効果に陥らずに健全な投資を行うことが大切です。将来の成功を願いつつも、リスクを適切に管理することを忘れないようにしましょう。

(参考文献)
Arkes, H. R., & Ayton, P. (1999). The sunk cost and Concorde effects: Are humans less rational than lower animals? Psychological Bulletin

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