復路効果とは
復路効果(Return trip effect)とは、同じ距離でも、行きよりも帰りのほうが短く感じてしまう現象のこと。
旅行などで目的地に向かうときよりも、家に帰るときのほうが短く感じられた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
なぜ、復路効果が発生するのか。そのメカニズムを考えてみたいと思います。
行きはワクワクしているから?
どちらかというと、心というより、脳の錯覚かな・・
1.単なる「慣れ」の問題である説
行きの道は未知の場所や新しい環境であるため、我々の脳は新奇性(Novelty)を感じます。新しい景色や建物、道路などに注目が集まり、それらの情報を処理するために時間がかかります。
ところが、帰りの道ではそれらの要素が既知となり、新奇性が失われます。
脳は既知の情報を処理するのが得意なため、時間が短く感じられるとした説です。
2.経験の違い説
行きの道は初めての経験であり、新たな情報を脳が処理することが期待されます。これにより、時間の経過がゆっくり感じられるのです。
一方で、帰りの道は既知の経験であり、脳が既にその情報を持っているため、時間が速く感じられるのです。
3.見積りの違い説
ティルブルフ大学のニールス・ヴァンデ・ベン准教授は、復路効果には見積りの違いが発生しているとの説を提唱しています。
ヴァンデ・ベン准教授によると、私たち人間は「初めて通る道の所要時間を少なく見積もる傾向にある」とのこと。
つまり、行きの道中に関しては、無意識に所要時間少な目で見積りをしてしまいますが、実際にはそれ以上に時間がかかってしまい、時間を長く感じてします。
そして、その経験から帰りの道中に関しては、所要時間を過剰に見積もってしまいがち。
結果として、帰り道はなんだかあっと言う間だった・と感じてしまうという説です。
今度の旅行で感じてみよう
このように、復路効果は新しい経験や環境に対する脳の反応と、それが経験の進行とともにどのように変化するかを示す興味深い現象です。
旅行や新しい場所への冒険を通じて、私たちの時間の知覚がどのように影響されるのか、是非体験してみてください。
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