ピークエンドの法則

記憶

ピークエンドの法則とは

ピークエンドの法則(Peak–end rule)とは、人間は過去の経験を、その絶頂時にどうだったか(嬉しかったか悲しかったか)、そしてそれがどう終わったかだけで判定するという法則のこと。

ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン博士によって提唱された心理学の理論です。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

過去の思い出は、たった2つの要素で決まっちゃうんだね。

イトケン
イトケン

いい思い出は、この2つの要素がバッチリ決まってるんだろうな・・

 

 

思い出はたった2つの情報で評価される。

人間は絶頂時(ピーク)と終了時(エンド)だけで、過去の経験を評価してしまう。

例えば、かつて彼女と初デートに行ったことを思い出してみるとします。
それがいい思い出なのかどうか、それを決定するのは、絶頂時(ピーク)と終了時(エンド)だけということ。

たまたま手が触れあって感情的な高まりを感じた絶頂時(ピーク)
・そして、彼女を自宅まで車で送ってお別れのキスをした終了時(エンド)

この2つのことだけが思い出を評価するとした考え方。

・デートに向かう途中に渋滞にハマってスケジュールが狂ってしまったことも
・彼女が途中でヘンなわがままを言い出したことも
・デート中ゲリラ豪雨に襲われたことも

他の微妙な記憶はちゃんと残っていたとしても、それは思い出の評価に影響を与えないということです。
あくまで絶頂時(ピーク)と終了時(エンド)だけがいい思い出なのか悪い思い出なのかを決めてしまう。

なお、絶頂時(ピーク)というのは強烈なインパクトを残した出来事のことなので、最高に楽しかったことばかりではなく、最高に嫌だったこともそれになり得るものです。そうなってしまうと、他にいい出来事があったとしても、悪い思い出として記憶されてしまいます。

 

 

脳が思い出の評価を省略している

なぜ人間は、絶頂時(ピーク)と終了時(エンド)だけで思い出を評価してしまうんでしょうか。
それには脳の動きが関係していると言われています。
あんな思い出やこんな思い出、全てを思い出していては結論を出すのに時間がかかってしまいますよね。
その為、私たちの脳は過去の出来事を大胆に省略して、、つまり、絶頂時(ピーク)と終了時(エンド)だけを判定材料にすることで思い出をスピーディーに評価しているわけです。

 

 

絶頂時(ピーク)と終了時(エンド)に力を注ぐ

このピークエンドの法則は、私たちの日常生活やビジネスにも応用されています。
カスタマーエクスペリエンスの向上を図る際には、顧客がポジティブなピーク体験とエンド体験を得られるように工夫することが重要です。また、人生の特別な瞬間を計画する際にも、ピークとエンドを意識して体験をデザインすることで、より豊かな思い出を作り出すことができます。

(参考文献)
Kahneman, Daniel.(1999) Patients memories of painful medical treatments: Real-time and retrospective evaluations of two minimally invasive procedures.
「ファスト&スロー」、ダニエル カーネマン 著, 村井 章子 著・訳、早川書房、(2012)

 

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