リンダ問題とは
リンダ問題(The Linda problem)とは、統計的な情報を適切に判断できない傾向を示した問いのこと。
1983年に心理学者のダニエル・カーネマンとアモス・トヴェスキーによって発案された認知バイアスの一例として有名です。
そのリンダ問題がこちら。
リンダは31才、独身、率直な性格で、とても聡明である。
大学では哲学を専攻した。
学生時代には、差別や社会正義といった問題に深く関心を持ち、反核デモにも参加した。では、現在のリンダの姿を表すものとして、
どちらの可能性がより高いでしょう?
- リンダは銀行窓口係である。
- リンダは銀行窓口係で、フェミニスト運動に参加している。
さて、1と2。 どっちの可能性が高いでしょうか。
学生時代のエピソードがあるから、なにかしらのフェミニスト運動してそう・・
つまり「2」ってことね!!はい残念~!!
多くの人は2を選びました。
でもよくよく考えてみると、1のほうが可能性が高いに決まっています。
1が銀行窓口係というグループを示すのに対し、2はその銀行窓口係グループのうちのフェミニスト活動をしているという小グループを示しているからです。
web検索で考えると分かりやすいかもしれません。
「銀行窓口係」という検索ワード1つで検索した検索結果数よりも、「銀行窓口係 フェミニスト活動家」と2つの検索ワードで検索したほうが、検索結果は少なくなります。2つの検索ワードで検索することは、検索を絞っているからです。言われてみれば当たり前ですね。
それにも関わらず、1と2,どちらがあり得るかとの問いに2を選ぶ人が多い結果になってしまうのがこのリンダ問題の不思議なところ。
このリンダ問題には連言錯誤(Conjunction fallacy)という心理現象が関わっています。
連言錯誤と物語性
連言錯誤は、1つの事柄よりも2つの事柄が同時に存在する物事のほうを多く感じてしまう現象のことです。
1つよりも2つが同時に存在するほう、つまり具体的に状況を指定されたほうを、人間は発生確率が高いと誤判断してしまうということです。
そのため、「銀行窓口係」かつ「フェミニスト」という2つの事柄があるほうが、もっともらしく見えてしまうわけです。
なぜならば、1つより2つ。2つより3つ。
より具体的なことが含まれていることで、ストーリー性が生まれます。その「物語」に惹かれてしまい誤判断してしまうというカラクリです。
人間は感情を優先して物事を考えます。統計なんかよりも、
「ははーん、リンダってこういうヤツだな?」
「リンダにそういう経歴があるってことは・・」
という風に、感情を与えてくれる「物語」を優先して判断してしまうということです。
(参考文献)
Tversky, A., & Kahneman, D. (1983). Extensional versus intuitive reasoning: The conjunction fallacy in probability judgment. Psychologimal Review
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