セイリエンスモデル

計画・見積り

セイリエンスモデルとは

セイリエンスモデル(Salience Model)とは、権力、緊急性、正当性の3つの要素で利害関係者を分類し、適切なコミュニケーションの仕方を示したもの。

つまり、関係者をタイプ分けして、それぞれの付き合い方のモデルケースを表したもので、1997年にビクトリア大学のロナルド・ミッチェルらによって紹介された考え方です。

大きな計画になればなるほど、利害関係者の数も多くなってしまい「誰の」「何を」優先すべきか分からなくなってきます。そんな時に、それぞれの関係者との付き合い方のモデルケースであるセイレンスモデルが役に立ちます。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

関係者が多すぎて、みんなが何を期待しているのか分かんなくなるよ・・

イトケン
イトケン

みんなに手厚くしたいけど、時間やお金も限られているしね。

 

 

関係者との付き合い方を計画する

セイリエンスモデルは、権力、緊急性、正当性の3つの要素における関係者の位置づけで付き合い方を示すステークホルダーマネジメントの手法です。

まずは、この3つの要素について見ていきましょう。

権力 (Power)
偉さ、権威、組織への影響力のこと。計画や決定に大きな影響を与える可能性のある利害関係者は、権力が高いと言えます。

正当性 (Legitimacy)
参加する権利や妥当性のこと。利害関係者の要求や関心が法的、倫理的、または社会的基準に合致しているかどうかを指します。正当性のある要求や関心には、適切な対応が求められます。

緊急性 (Urgency)
直ちに対処する必要性のこと。緊急性とは、要求や問題が迅速な対応を必要とするかどうかを示します。緊急性の高い問題には素早く対処する必要があります。

 

そして、利害関係者たちがベン図のどこに位置するかで適切な付き合い方を導き出すことができます。

1「意識はすれど特別扱いは不要な相手」(Dormant)
影響力はあるが、正当性も関心も無いので特別な対応は不要。ただし、緊急性を持ち合わせるようになったら面倒くさい人物。
(例えば…役所、メディアなど)

2「常に状況を報告しておく相手」(Discretionary)
計画に参加する理由があるので、とりあえず報告を怠らないようにしておくべき人物。
(例えば…同じ部署の同僚など)

3「コミュニケーションで満足な状態にしておく相手」(Demanding)
あんまり関係ないくせに口だけ出してくる人物。なんとか黙らせたいが、あまり注力してもしょうがない。
(例えば…クレーマーなど)

4「期待に応えておくべき相手」(Dominant)
緊急性は低いが、権力と関与する理由がある。要求も正当なものなので、彼らの期待に応え、コミュニケーションを密にとるべき人物。
(例えば…プロジェクトのボードメンバーなど)

5「積極的に関与するが要求は適度に満たしておく相手」(Dangerous)
権力と緊急性を持つ上に、正当ではない手段で要求を通してくる相手。こちらが相手に向き合っていることを示す必要があるが、必ずしも要求を満たす必要はない。
(例えば…過激な環境保護団体など)

6「協力関係を気付いておくべき相手」(Dependent)
情報を共有し、いつでも彼らの協力を得られるようにしておくべき相手。権力を持たないが、彼らが焦り出すと他の関係者を利用する可能性がある。
(例えば…同じ計画に取り組むメンバーなど)

7「最重要の関係を築いておくべき相手」(Definitive)
権力、緊急性、正当性の3つの要素をすべて持ち合わせる最も重要な利害関係者。
(例えば…クライアント、株主、スポンサーなど)

8「時間やお金をかけてはいけない相手」(Non-Stakeholder)
もはや関係者とは呼べないレベルの相手。そのためコストをかけてはいけない。

 

 

あなどれない関係者への対応

セイリエンス・モデルは、利害関係者との関係を効果的に構築し、プロジェクトやビジネスの成功に向けた戦略的なアプローチをサポートする重要なツールです。このモデルは、権力、正当性、緊急性という3つの要素を考慮することによって、次のような利点を提供します。

戦略的なアクションプランの策定
権力のある利害関係者との協力的な関係を築き、彼らの要求や関心に対処することで、プロジェクトやビジネスの成功に向けた具体的な行動計画を策定できます。

法的および倫理的遵守
正当性の観点から要求や関心を評価し、法的要件や倫理的基準に従った対応を行うことによって、リスクを軽減し、信頼性を高めます。

効率的なリソースの配分
緊急性の高い問題には速やかに対応し、迅速な解決策を見つけることで、リソースを効果的に配分し、プロジェクトの進行をスムーズにします。

セイリエンス・モデルを活用することで、利害関係者とのコミュニケーションや対応が的確に行えるため、プロジェクトの成果を最大化し、組織の成功に貢献します。このモデルを実践に取り入れ、関係構築と戦略の発展に役立てましょう。

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