ファンセオリーとは
ファンセオリー(The Fan theory)とは、楽しむことこそが人間の行動を変化させるものであるとした考え方のこと。
実は、このファンセオリーという考え方が登場する前は「罰」こそが人間の行動を変えるものと考えられてきました。
(罰則が人間の行動を変化させる)
罰則があるから、ルールを守ろう。
罰則があるから、行動をしよう。
しかし、あのフォルクスワーゲン社は、罰則ではなく「楽しい」という感情のために人間は行動を起こすものであると考え、ファンセオリーというプロジェクトを立ち上げました。
(楽しみが人間の行動を変化させる)
楽しいから、ルールを守ろう。
楽しいから、行動をしよう。
たしかに楽しいほうの選択をするかも・・
行動を変容させるために「楽しみ」が必要という考え方だ。
健康促進のために階段を利用させる
私たちはエレベーターやエスカレーターではなく、階段を使ったほうが健康に良いことは十分わかっています。しかし、体力を使ってしまう階段を昇る選択をすることはあまりありません。
そこで、ストックホルムのある地下鉄駅にある階段が設置されました。
それが、「歩くと音が鳴るピアノの鍵盤状の階段」です。
階段を歩くとピアノの音が鳴るという単純な仕掛けではありますが、「面白そう」ということがきっかけとなり、階段を歩く人が66%も増加したと報告されています。
世界一深いゴミ箱
公園でごみをポイ捨てしてはいけないことも、私たちは十分理解しています。
しかし、ポイ捨てが無くならないのはなぜなのか?
ファンセオリー風にこの問題を解決するならば、「ゴミを捨てることが楽しいものになれば、ポイ捨てする人はいなくなる」という考え方になります。
人間は自身の行動の結果を求めてしまう
このファンセオリーの根底にあるのは、「人間は自身の行動の結果を求めてしまう」というものです。
ダイエットに励んでいる人が、地下鉄駅の階段を頑張って昇りました。
では、この階段を昇ったことで、ダイエットにどれくらい役に立ったのか。
人間は自分の行動の結果を確認したくなる生き物です。
同じように公園利用者が、わざわざ遠くにあるゴミ箱まで行ってゴミを捨てました。
その自分の行動が、公園美化にどれだけ役に立ったのか確認したくなるのが人間ってものです。
行動の結果として、階段を昇ったことで「0.001kg減った!」とか、ポイ捨てしなかったことで「公園美化に0.001%役立った!」とテレビゲームのスコアのように確認できれば、一番いいのですが現実的には難しいと言わざるを得ません。
(歩数計や活動量計はこの仕組みを利用してモチベーションを保っています)
そもそも、階段を昇った程度で、ポイ捨てをしなかった程度で、どれだけ効果があったのかと言われても微細な結果しか得られず、逆にそれがモチベーション低下に繋がることも考えられます。
ならば、結果に替わる「楽しみ」を与えることが、その行動を習慣づけるモチベーションに効果的であるという理論です。
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