パーキンソンの法則

時間管理

パーキンソンの法則とは

パーキンソンの法則(Parkinson’s law)とは、人間は時間もお金も、あればあるだけ使ってしまうことを示した法則のこと。すなわち、タスクが与えられた時間や予算いっぱいまで膨張する現象を指します。
以下の2つの法則が有名です。

第1法則
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。

第2法則
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する。

イギリスの歴史学者であり、作家でもあるシリル・ノースコート・パーキンソンが、1958年に自信の著書「パーキンソンの法則:進歩の追求」において、この法則を提唱しました。

パーキンソンの法則は、タスク管理や組織論の分野で広く引用されています。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

そうそう・・なぜかいつもギリギリになっちゃうんだよね。

イトケン
イトケン

8月31日ギリギリになるまで、夏休みの宿題というタスクも膨張してるんだわ。

 

 

あればあるだけ使ってしまう

政治学者でもあるパーキンソンは、イギリスの官僚制における役人を観察し続けた結果、仕事の数は減っているはずなのに、なぜか役人の人数が増えていることから第1法則を提唱しました。

また第2法則は、国家予算を毎年ほぼ使いきってしまう当時のイギリスの財政状況を皮肉って生まれたものと言われています。

つまり、人間は時間もお金も、あらゆる資源をあればあるだけ使いきってしまうことを意味しています。

 

 

なぜパーキンソンの法則が発動するのか

パーキンソンの法則が発動する理由として、パーキンソン自身はイギリス官僚制における役人の特徴(部下を持ちたがる、相互に仕事を作り合う)と組織的な要因を挙げています。

しかし、イギリス官僚に限った話ではなく、与えられた予定時間を目一杯使ってしまう長い会議や、財布に余裕があると無駄遣いをしてしまう心理など、私たちの生活にもパーキンソンの法則は身近に溢れています。

ここではパーキンソンの法則の第1法則と第2法則それぞれの背後にある心理的な要因について考えてみました。

第1法則
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。
(タスクが時間ぎりぎりまで膨張)

 

行動経済学者のムッライナタンとシャフィールの著書「いつも時間がないあなたに:欠乏の行動経済学」に”集中ボーナス”(Concentration bonus)という言葉があります。
これは、時間の欠乏により、かえって集中力が高まる心理効果のこと。
おそらく多くの人が経験したことがある、あの締め切り間近の奇跡の集中力のことです。

つまり、与えられた時間に猶予時間がありすぎると、「逆」集中ボーナス状態になってしまいパフォーマンスが低下してしまう。結果的にタスクをこなすのに猶予時間をすべて使ってしまうというわけです。

タスクが長期間にわたって行われる場合、人間はその重要性を低く評価し、タスクを先延ばしにしてしまう心理的な傾向も影響していると言えます。

 

第2法則
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する。
(タスクが予算ぎりぎりまで膨張)

 

第2法則は予算編成やリソース配分に発動要因が関連しています。
予算が充分に割り当てられている場合、私たちはその予算を消化しようとする傾向があります。

これは、予算が余っていると、今後その一部が削減される可能性があり、これを防ぐために使おうとする心理的なプレッシャーが生じるためです。また、予算をすべて使い切るということが、正当な額の予算であることの証明にもなることも影響を与えていると考えられます。

 

以上を考えてみても、第1法則は時間に猶予があると発動し、第2法則も予算たっぷりだと発動する。どうやらパーキンソンの法則は、資源に余裕がある時に発動するもののようです。

 

 

パーキンソンの法則を発動させないために

タスクやプロジェクトに対して明確な目標を設定し計画を立てます。期限を設定し、進捗をモニタリングして、目標に向かって進む方向を明確にしましょう。
また、タスクを優先順位付けし、最も重要なものから着手することも有効です。これにより、重要なタスクが締め切りに追われるのを防ぎます。

時間や予算などに猶予がある場合は、大きなタスクを小さなステップに分割し、それら資源の消費率を追跡することでパーキンソンの法則を発動を防止します。

(参考文献)
「パーキンソンの法則」C.N.パーキンソン (1996) 至誠堂選書

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