特異性信用

チーム作り

特異性信用とは

特異性信用(Idiosyncrasy credits)とは、集団の中で影響力が強い人ほど、集団からの逸脱が許されやすいとした理論のこと。

組織の中で影響力が強い人ほど、意見したり、批判したり、わがまま言ってみたり、そういう行動が許されやすいとした組織心理学や社会心理学で用いられる重要な概念です。

1958年に社会心理学者のエドウィン・ホランダーが自身の論文で提唱しました。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

影響力って大事だな・・

イトケン
イトケン

わがまま言いたいだけでしょ・・

 

 

下っ端の社員は、意見するほど出世が遠のく

会社を例にすると…

・役職がついている人
・長く努めてきたベテラン社員
・何か大きな成果を挙げた人

このような人たちのように、会社の中で信用を作り上げた影響力の強い人ならば、意見したり、批判したり、わがまま言っても許されやすいとした考え方です。

よく、現場からのアイデアが大事とか、1人1人の意見が大切であるとした言葉を耳にします。

しかし実際は、末端社員からの意見や批判は聞き入れてもらえないどころか、組織にとってそれは「許されない行動」になってしまう場合があります。

ノースカロライナ大学の調査によると、下っ端の社員が上司に問題点を指摘すればするほど、出世する可能性は低くなったとの研究報告があります。しゃしゃり出てくるペーペーは組織内では嫌われる傾向にあるようです。

 

 

スーツよりもTシャツを着てるほうが高評価になる?

組織心理学者でペンシルバニア大学ウォートン校のアダム・グラント教授は、自身の著書でこのようなエピソードを紹介しています。

シルビア・ベレッツアが率いる最近の実験では、被験者に一流大学の男性教授を評価してもらったところ、教授たちがTシャツにあごひげという格好のときは、ひげをそってネクタイを着けているときよりも14パーセント地位と能力が高いと評価されていた。

アダム・グラント 「ORIGINALS 誰もが人と違うことができる時代」三笠書房、(2016)

一流大学の男性教授は、スーツにネクタイを着用している時よりも、Tシャツにあごひげを生やした状態のほうが、なぜか周囲から14%も地位や能力が高いと見なされるという驚きの結果を紹介しています。

ビシッとスーツを着ているよりも、Tシャツでラフな格好をしているほうが見た目の評価が高いということですが、これには特異性信用が大きく関係しています。

 

役職がある、長く勤めている、大きな成果を挙げた・・などなど、組織の中でそんな信用があれば、組織が求めていない言動や行動も許されやすいというのが特異性信用でした。

ならば逆に、集団から逸脱した人が、なんだか影響力のあるスゴい人にみえてしまうということも考えられるわけです。

大学教授と言えば、一般的にスーツを着ているイメージがあります。実際にスーツを着用している男性教授は多いでしょう。

しかし、そんなスーツ集団の教授たちの中で、なぜか1人だけTシャツの教授がいたら?

私たちは、Tシャツの教授をみてこう感じます。

あんなラフな服装が許されてる教授は、きっと影響力が強いスゴい人に違いない!

つまり、集団のルールから外れた言動や行動というのは、特異性信用の観点から考えてみても、他人にちょっとカッコよく見せるテクニックだったりもします。

(参考文献)
アダム・グラント 「ORIGINALS 誰もが人と違うことができる時代」三笠書房、(2016) https://amzn.to/47Yd1AN

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