自己決定理論

やる気

自己決定理論とは

自己決定理論(Self-Determination Theory, SDT)とは、自分でやると決めた度合いが大きければ大きいほど、私たちのやる気が長く続くとした理論のこと。

「他人に言われたから行動した」や「ご褒美を貰えるから行動した」等、自分以外のきっかけで決めたことを外発的動機づけと呼び、「楽しそうだから行動した」や「自己成長に繋がるから行動した」等、自分で決めたことを内発的動機づけと呼びます。

自己決定理論では、外発的動機づけよりも、内発的動機づけのほうがやる気が強大で長く続くとしています。

この自己決定理論は、アメリカの心理学者エドワードデシとリチャード・ライアンが提唱したもので、個人の行動やモチベーションの根底にある要因を理解しようとする心理学的な枠組みとして知られています。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

ご褒美があるから、がんばります!

イトケン
イトケン

これ絶対やる気が続かんやつや・・・

 

 

やる気の仕組み

上の図は自己決定理論を図解したものです。右に行けば行くほど、やる気が強く長続きするものとされています。

なお、外発的動機づけは4つに分類できます。

・誰かに言われたから行動した「外的調整」
・羞恥心や罪悪感に迫られて行動した「取入れ的調整」
・やりたくないけど必要だから行動した「同一化的調整」
・自分らしさを感じて行動した「統合的調整」

 

 

やる気に影響を与える3つの心理的欲求

これらのモチベーションには3つの心理的な欲求が存在します。

自己決定感(Autonomy): 自分の主体的な意志に基づいて行動する
自己決定感は、自分の行動や選択に対してコントロールし、主体的な意志を発揮することです。これは、他者からの強制や制約を感じずに、自分自身の価値観や目標に基づいて行動する能力を指します。例えば、仕事でのプロジェクトや趣味において、自分で進んで取り組むことが自己決定感を高めます。

関連性(Relatedness): 他者とのつながりと共感
関連性は、他者とのつながりやコミュニケーション、共感を感じることです。人間は社会的な生物であり、他者との関係が満たされるとモチベーションが向上します。例えば、チームワークや友情がある環境では、自分の行動が他者に影響を与えることを意識し、より積極的になります。

能力(Competence): スキルの向上と成長
能力は、自分のスキルや能力を発揮し、成長することを指します。新しいことに挑戦し、自分の限界を超えることでモチベーションが高まります。例えば、新しいスキルを身につけたり、仕事での課題に挑戦したりすることで、成就感を得られ、モチベーションを維持できます。

自己決定理論によれば、これらの基本的な心理的欲求が満たされると、個人はより健全で持続可能なモチベーションを持つことができ、自発的な行動が促進されます。

逆に、これらのニーズが不足していると、外部からの強制や報酬に依存してしまい、短期的なモチベーションしか得られない可能性が高まります。

この理論は、教育、組織行動、臨床心理学などさまざまな領域で応用されており、個人のモチベーションや行動を理解し、支援するための有用な枠組みとなっています。

(参考文献)
Ryan, R. M.; Deci, E. L. (2000). “Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social development, and well-being”. American Psychologist. 55

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