目標勾配仮説とは
目標勾配仮説(Goal gradient hypothesis)とは、目標などのゴールが近づくにつれてモチベーションが向上する現象のこと。
よく例に挙げられるのがお店などでもらえるスタンプカードです。スタンプが貯まっていくにつれて、あと少し頑張ろうと感じてしまう心理が目標勾配仮説です。
アメリカの心理学者クラーク・ハルが自身の論文で提唱しました。
ゴールが見えると頑張れるよね。
目標に近づけば近づくほど、その目標に対する価値が見えてくるのだ。
実はスタートが1番ダルい
ゴールが近づくにつれてモチベーションが向上する目標勾配仮説の考え方によると、目標に向かってスタートした時点でのやる気が最も低いことになります。
実際は、新たな目標に向かって歩み始めた時に気持ちが高ぶる事がありますが、それは一時的なものです。三日坊主という言葉にもあるように、序盤でのやる気の喪失は少なくはありません。
そこで、先ほどの例に挙げたスタンプカードでよく見られる工夫が「初めから1、2個スタンプが捺された状態」をスタートにしておくというものです。
10個スタンプを集めることをゴールにした場合、0個の状態からスタンプを1つ獲得しても、それは目標達成率10%でしかありません。
しかし、初めから2つのスタンプが捺された状態で12個のスタンプを集めることをゴールとした場合(集めるスタンプは同じ10個)、新たに1つのスタンプを獲得すると合計3個の達成数になり、ゴールの12個までの達成率は25%となります。
このように同じ1つのスタンプ獲得でも、工夫1つで達成率が大きく変化します。達成率が高いということはゴールが近いということ。つまり、序盤のやる気の低さとゴールまでの遠さを感じてしまうことを同時にケアし、モチベーションの喪失を防いでいるわけです。
大きすぎる目標はやる気を生み出さない
そしてもう1つ、この目標勾配仮説から読み取ることができる教訓が「大きすぎる目標はゴールが遠くに感じられるため、やる気を生み出さない」ということです。
「俺は将来ビッグになる!」と目標を掲げても、壮大な目標を前にまず最初になにをすべきかイマイチ見えてきません。
この場合は「目標の細分化」という工夫で、モチベーションの低下を防ぐことができます。
WBSなどで目標を分解・細分化することで、1つの大きな目標をたくさんの小さな目標にし、やる気を保つことが重要です。
例えば「英語を話せるようになる」という大きな目標ではなく、これを分解して…
「ボキャブラリーを増やす」
「外国人と積極的に話す」
「文法を学ぶ」
「リスリングを向上させる」
「異文化を理解する」
「読解力を身に付ける」
「日常的な表現を学ぶ」
…と言ったような細かいタスクにすることで(まだまだ分解できそうですが)、最終的な大きなゴールを見失うことがなく、やる気を保つことができます。
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