U理論

アイデア

U理論とは

U理論(Theory U)とは、組織や社会が複雑な問題に対処し、持続可能な変化を生み出すための変革のフレームワークのこと。

提唱者であるマサチューセッツ工科大学(MIT)のオットー・シャーマーは、130名以上の学者、起業家、発明家、芸術家などへのインタビューを実施。そこから得た知見をもとに生み出された理論です。

問題解決に取り組む優れたリーダーの「やり方」ではなく、「あり方」こそに物事を変えていく源があるとした考え方です。

この理論は、深い観察から始まり、根本的な意識の変革を経て、実行に至るプロセスを「U字型」のカーブで表現しています。

 

法則うさぎ
法則うさぎ

なるほど・・わからん。

イトケン
イトケン

次の章から具体的に見ていくよ♪

 

 

U字型のプロセス

センシング(観察する)
最初のステップは、現状を深く観察し、周囲の情報をオープンに受け入れることから始まります。この段階で重要なのは、先入観を捨て、物事の本質を感じ取ることです。

例:ある企業が、従業員のやる気が低下していると感じ取りました。センシングでは、経営側が従業員にアンケートやインタビュー、ワークショップを開催して、従業員の真のニーズや不満を深く理解することから始めます。ここで大切なのは、ただ情報を集めるだけでなく、またそれらを分析することでもなく、ただひたすら従業員の声に真摯に耳を傾け、その背後にある感情や価値観まで感じ取ることです。

プレゼンシング(一歩下がって内省し、内なる”知”の出現に任せる)
先入観や固定観念を捨てると、思考の静寂が訪れます。そこから、過去の延長線上には無い「新しい”知”(ノウイング)の出現を迎え入れる準備をします。

例:感じ取った情報を元に、経営側は一旦距離を置き、静かな環境で内省を行います。これにより、問題の根本原因や解決策がうっすらと見えてくることがあります。例えば、従業員が仕事の意義を感じられないことが問題の核心であると「何となく」感じたりすることです。この出現しつつある”知”を否定することなくそのまま受け入れます。

クリエイティング(素早く即興的に行動する
新たな知やアイデアを得た後は、それを具体的な行動や変革へと繋げていきます。このステージでは、創造的で実践的な解決策を形にしていく必要があります。

例:プレゼンシングを通じて新たな”知”を得た後、具体的な行動計画を策定します。例えば、従業員が仕事に意義を感じられるように、業務の再設計や新しいプロジェクトの導入、キャリアパスの明確化が行われるかもしれません。これには、実際に試行錯誤しながら従業員のフィードバックを取り入れ、持続的な改善を図ることが含まれます。

問題解決や変革にはPDCAも非常に重要な考え方ですが、PDCAはあくまで「過去」のトライ&エラーの延長線上に解決策を見出すのに対し、U理論では生まれつつある”知”、つまり今この瞬間に出現しようとするする「未来」を感じ取り、解決策を形にしていく考え方です。

そのため、よりイノベーティブでこれまでにない解決策を生み出すのに適していると言われています。

 

 

U理論の応用

U理論は、ビジネスだけでなく、教育、政治、社会運動など、様々な分野で応用されています。

例えば、組織内でのリーダーシップ育成や、地域社会の持続可能な開発プロジェクトにおいて、参加者が共感し、協力しあう文化を築くために利用されています。

U理論は、ただの問題解決法ではなく、変革を生み出すための深いプロセスです。この理論を通じて、私たちは自身の内面と向き合い、より良い未来を切り開くための新しいアプローチを学ぶことができます。

どんなに困難な課題も、根本からの理解と創造的なアクションで、持続可能な解決策に導くことが可能です。

(参考文献)
中土井僚「人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門」PHP研究所(2014)https://amzn.to/4b0LOiq

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