クーエ療法とは
クーエ療法(The Coue method)とは、自己暗示によって病が快方に向かうとした治療法のこと。
フランスの薬剤師で、後に暗示心理学の巨匠となるエミール・クーエは、患者さんに薬を処方する時に、いつもこんなことを言っていました。
この薬、めっちゃ効くから!
エミール・クーエ (1857- 1926)
クーエは、暗示や思い込みによって病からの回復が加速することを、薬剤師としての経験則から感じていたわけです。
クーエは、朝晩「私は日々あらゆる面でますます良くなりつつある!」と日頃から心の中で唱えることの重要性を説きました。
この自己暗示が、無意識のうちにメンタルに働きかけ、驚異的な回復力を生み出すという考え方です。
ホントかなぁ・・・?
でもネガティブに捉えてたら、治る病気も治らないだろうし。アリじゃね?
強すぎる想像力が、意志を打ち負かす
クーエは自身の著書で人間の想像力と意志との関係についてこう述べています。
人間は想像力がやたら強い生き物なので、それと同等の意志を持つのは難しい。
それでも、その想像力に負けない意思を持つことで心身ともに変化が生じる。
ちょっと分かりにくいので、人気漫画の例から考えてみましょう。
私たちは小学校の体育の授業などで平均台を普通にスタスタと歩いていました。
しかし、この平均台が人気漫画「賭博黙示録カイジ」に登場する地上74メートルの高さを持つ鉄骨渡りだったらどうでしょうか。
恐怖のあまり足がすくんでしまう人もいれば、中には落下してしまう人もいるでしょう。
これは人間の持つ想像力が、「落ちてしまうんじゃないか」という考えに強く思いを巡らせてしまい、平均台を歩こうとする意志をかき消してしまっているために起こりえる事象です。
このように恐怖に駆られたとき、心配事があるとき、そして病に見舞われたとき、人間は無駄にネガティブな想像力を働かせすぎてしまい、本来持っていた意志が無効化されてしまいます。
幅10cmぐらいの平均台なら余裕で渡れるのに、ネガティブな想像力によってそれができなくなる。
クーエ療法も同じです。
ある程度の病気なら、人間は本来の治癒能力を持っているはずです。
それが病に冒されたことで、ネガティブに想像力を働かせてしまい、治せた病気すら治せなくなる。
クーエ療法は、そのネガティブな想像力を自己暗示という手段で取っ払うことで、本来の治癒能力を働かせようとする手法です。
(参考文献)
エミール・クーエ「暗示で心と体を癒しなさい!―不安・緊張・悩みが消える」かんき出版(2009)https://amzn.to/3NSmguH
コメント